鳥取連続不審死事件

2000年代
2004年05月13木曜日〜

鳥取連続不審死事件(とっとり れんぞくふしんしじけん)とは、2004年(平成16年)から2009年(平成21年)にかけ、鳥取県鳥取市を中心に発生した連続不審死事件。


事件の概要
2009年11月、詐欺罪で逮捕された元スナックホステスの女Uの周辺で、6人の男性が不審死していることが発覚した。
翌2010年1月、Uは強盗殺人罪で逮捕され、最終的に2人を殺害した罪で起訴された。
一連の不審死事件
第1の事件
2004年(平成16年)5月13日、当時Uの交際相手である男性Aが、段ボールに詰められた状態で鳥取市内のJR因美線で列車に轢かれ死亡した。
段ボールには「出会って幸せだった」などのようなことが書かれており、鳥取県警は文面の様子などから遺書と判断し、Aの死因を「自殺」と処理して、司法解剖などは行わなかった。
AはUとの金銭トラブルがあり、同僚などからたびたび借金をしていた。
第2の事件
2007年(平成19年)8月18日、Uの家族と共に貝を採りに、鳥取砂丘近くの海岸に出かけた27歳の男性Bが海で溺れ、搬送された病院で約10日後に死亡した。
Bは泳げなかった。
Uとは2001年頃にスナックで知り合い、2005年頃から同居するようになった。
BはUから日常的に熱湯をかけられるなどの暴行を受けていた。
第3の事件
2008年(平成20年)2月、鳥取市郊外の山中で男性Cの首吊り死体が発見された。
CはUが働いていたスナックの常連客であり、2人の間で金銭トラブルがあったという。
第4の事件(起訴事案)
2009年(平成21年)4月11日早朝、北栄町沖の日本海で47歳男性Dの水死体を発見。
遺体からは睡眠導入剤のほか、肺からは(水死の場合、入るはずがない)砂が検出されるなど不自然な点が多く、他殺の可能性が高いと結論づいて、起訴へ至った。
第5の事件(起訴事案)
同年10月7日、男性Eが自宅から約4km離れた鳥取市内の摩尼川にて、うつ伏せの状態で死亡しているのを発見された。
前日、男性Eは家族に「集金に行く」と言い残し、車でどこかへ出かけている。
捜査の結果、事件現場から約10m離れた場所にEの車が発見され、カーナビの走行記録を確認ところ、U宅の敷地を何度も出入りしていたことが判明する。
Uおよび同居人の男性は、Eに対して140万円ほどの未収金があり、前日の発言はこのことだと思われる。
また、Eの遺体が発見された事件現場は、決して溺れるはずのない”水深20cm”程度の浅い川で、第三者に顔を押しつけられた可能性が高く、遺体からも睡眠導入剤が検出されたため、起訴へと至った。
第6の事件
同年10月27日、Uと同じアパートに住んでいた男性Fが、急な体調不良で急逝した。
同年9月、FはUの車を借りて運転していた最中、鳥取駅前で乗用車と衝突事故を起こす。
その際、Uは「相手と示談する」と言ってFから8万円を受け取るが、話し合いは一向に進展せず、結局Fは示談で揉めることになった。
その1ヶ月後、Fは昏睡状態に陥って死亡する。
Fは生前、Uのスナックの常連客であり、彼女に自宅の鍵を預けていたという。
報道
この事件は、2009年11月2日に詐欺容疑でUが逮捕された際、鳥取県警は実名を公表し、県警記者クラブに加盟する報道各社に発表資料を配布した。
しかし、不審死事件が発覚した5日以降は匿名にきりかわった。
これは、殺人容疑で立件されれば裁判員裁判の対象となるため、世間に予断をあたえないための配慮とされている。
しかし、ほとんどの週刊誌は実名や顔写真を掲載し、センセーショナルな見出しで女の生い立ちや生活実態を報道した。
『週刊新潮』は、『社会的な関心がおおきく、「知る権利」にこたえるため』、『週刊文春』は「事案の重大性をかんがみて」という理由で実名報道を選択した理由を説明している。
一連の報道についてマスコミ研究者の桂敬一は、「実名報道は捜査当局の判断をまってからでもおそくない。興味本位の報道ではよくなく、インターネット上でも情報が氾濫しており、フィクションの世界で犯罪ができあがるような錯覚すらおぼえる」と指摘している。
2010年1月28日にUが強盗殺人罪で逮捕されたのを機に、テレビや大手新聞でも実名報道に切り替えとなった。
刑事裁判
裁判では目撃証言などの直接証拠が存在せず、間接証拠の積み重ねでの判断に注目が集まった。
2012年12月4日、鳥取地裁(野口卓志裁判長、裁判員裁判)は求刑通り死刑を言い渡した。
女性被告人に対する死刑判決は、裁判員裁判では首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗に続き2人目だった。
被告側は判決を不服として即日控訴した。
2014年3月20日、広島高裁松江支部(塚本伊平裁判長)は第一審の死刑判決を支持し、控訴を棄却した。
被告側は最高裁に即日上告した。
最高裁判所第1小法廷(小池裕裁判長)は2017年4月7日までに、上告審口頭弁論公判の開廷日を6月29日に指定した。
最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)で2017年6月29日、上告審口頭弁論公判が開廷された。
弁護側は2件の強盗殺人について「被告人が睡眠薬の作用でもうろうとしている男性に肩を貸し、犯行場所とされるところまで連れて行くことは不可能だ」と無罪を主張した一方、検察側は「被告人による犯行は十分可能だった」と上告棄却を求めた。
2017年7月5日までに、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は上告審判決公判開廷日時を7月27日に指定した。
2017年7月27日、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)はUの上告を棄却する判決を言い渡した。
これにより、Uの死刑が確定することとなった。
Uは判決を不服として、最高裁第一小法廷に判決の訂正を申し立てたが、8月23日付で棄却決定がなされたことにより、死刑判決が確定した。
Uは戦後16人目、裁判員制度導入後では、首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗以来2人目の女性死刑囚となった。
別事件の死刑囚からの提訴
和歌山毒物カレー事件で死刑が確定した林真須美(大阪拘置所収監中)の支援誌に、林は本事件の被告人Uと面識がなく、関わりを持ちたくないにもかかわらず、Uとの関係をうかがわせる文章が林の支援誌に掲載されたり、別の雑誌で林がUに親しみを持っているかのような印象を与える表現をされたりして、苦痛を与えられたとして、林は2016年12月28日付で、Uに対し計1000万円の損害賠償を求め、東京地方裁判所に民事訴訟を提訴した。
この訴訟は2017年3月に松江地方裁判所で審理されることが決まった。
死刑囚の現在
2016年時点で、当時上告中だったUは松江刑務所拘置区に収監されていたが、死刑が確定した2017年9月23日現在は、広島拘置所に移送されている。

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